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受託契約準則は、金融商品取引所の取引参加者とその顧客との間における取引所取引の契約内容を定型化したものです。

外務員試験受託契約準則イメージ図



上のようなイメージです。

ここでは、取引参加者についての次の点を理解しておいてください。

受託契約準則とは

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受託契約準則は、取引参加者だけでなく、顧客も対等の契約を締結した者として受託契約準則を熟知し、遵守すべき義務があります。

要は、お客さま(投資者)も金融商品取引の世界に足を踏み入れるなら、金融商品を購入するなら、ちゃんと決まりごとを守ってネ、というものです。取引の受託においては、次のようなことを取引参加者に指示しなければなりません、といったような決まりごとがあるわけです。

取引の受託・・・調査義務と指示

顧客が、取引参加者に取引を委託する場合には、その住所・氏名等を通告する義務、があります。

また、顧客は・・・
1.有価証券の売買の委託に際して・・・売買の種類、銘柄、売り買いの区別、数量・・・などを指示します。
2.国債の売買の委託に際して・・・銘柄、売り買いの区別、数量・・・委託注文の有効期間を指示しなければなりません。

ここは一種試験で出題される範囲になります。今から覚えておきましょう。まあ、冷静に考えたら当たり前の話なんですけど、それをちゃんと指示するのは顧客側の義務なんですよ、ということですね。

決済取引の受渡決済等(タイムリミット・時限は?)

前のテキストで、(有価証券の)3つの売買の種類について学習しました。覚えていますか?
1.当日決済取引、2.普通取引、3.発行日決済取引、の3つでした。それぞれに受渡決済等について決まりがあります。

当日決済取引 普通取引 発行日決済取引
売買成立の日における取引参加者と顧客の合意により定める時限までに、 売買成立の日から起算して4日目(休業日を除く)の日の午前9時までに、 発行日決済取引による売付け又は買付けが成立した時は、顧客は約定価格の30%以上の金銭を委託保証金として売買成立の日から起算して、3日目の日の正午まで
売付証券又は買付代金を取引参加者に交付しなければならない 売付証券又は買付代金を取引参加者に交付しなければならない 差し入れなければならない

なんかゴチャゴチャしていますけど、ぜひ頭の中を整理してください。
試験会場でこの表を思い出せれば、合言葉が使えます。

合言葉 (左から)いつでも49(よん、く)で、33(さざんが)9? いや、正午

当日決済・・・合意により定める・・・いつでもいい
普通決済・・・日目の午前
発行日決済・・・0以上の保証金を日目の(9時ではなくて正午まで

なぜ、発行日決済取引だけ、委託保証金が必要になるのか?

委託保証金

じゃあ、委託保証金って何なの?

発行日決済取引は、実際にその取引期間が1か月~3か月に及びます。その間に何があるか分かりません。それで、ちゃんと決済されるように証拠金として委託保証金を差し入れさせるものなのです。

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不動産取引での手付金みたいなものですね。

委託保証金は、現金でなくても構いません。たとえば、国債とか一部上場企業の有価証券とか・・・代用できるのです。
じゃあ、その価格はいくらで評価するの、ということになれば、代用有価証券を差し入れる前日の時価に、掛け目を掛けて算出します。

※その掛け目が以下の表のとおりです。何となく信用力の違いで掛け目が違うのがわかりますね。

代用有価証券 代用掛け目
国債・・・国債や政府保証債の掛け目が高いのは理解できますね? 95%
政府保証債 90%
地方債証券、上場会社(外国法人を除く)の社債券、国内の金融商品取引所に上場されている外国国債証券、公社債投資信託の受益証券 85%
国内の金融商品取引所に上場する株券等、上場会社(外国法人を除く)の新株予約権付社債券、その他の投資信託の受益証券等 80%

あと覚えておいて欲しいのは、

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発行日決済取引では、相場の変動によって計算上損失が生じ、そのために当初の委託保証金の残額が・・・
その約定価額の20%を下回ることとなった時は
取引参加者は、顧客から
その約定価額の30%を維持するに足る金額を、委託保証金として
損失計算が生じた日から起算して3日目の日の正午までに追加差入れをさせる必要があります。

国債の場合の受渡決済

顧客は、国債の売買を委託した時は、取引参加者が指定する日時までに、売付国債証券又は買付代金を取引参加者に交付しなければなりません。・・・ただし、これはサラリと流すだけでいいか知れません。

外貨による金銭の授受

有価証券の売買に係る顧客と取引参加者との間の売買代金や委託手数料等の金銭の授受は、すべて円貨で行うことが前提。
ただし、受託取引参加者が同意した場合は、顧客の指定する外貨により授受を行うことができる。

信用取引

一種試験の範囲になってきますが、ここで信用取引について少しだけ勉強しておきましょう。

通常は、10万円の商品を購入する時には10万円が必要です。
簡単にいうと、信用取引とは、売ったり買ったりの時に、預けている資金の金額や有価証券の価格以上に、それを担保にして(自分を信用してもらって)一定の限度までは売買ができる、というものです。ですから、小さな金額でも大きな取引ができることになります。そのため上手くいけば儲けも大きいです。逆になった場合は(当然)損も大きいですから・・・追加でお金が必要になってきます。

それが信用取引というものです。

信用取引の委託保証金

考え方は、前記の委託保証金の考え方と同じです。

ただ、金額については30万円を1つのバーとして、それよりも大きい、小さいで区別があります。
信用取引をしました。そしたら・・・下の基準で、委託保証金を差入れてくださいね(売買が成立 ⇒ 売買成立の日から起算して3日目の正午までに)ということです。

1.受入保証金がない場合・委託保証金を差し入れていない場合(または、残高がゼロの場合)

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約定価額に30%を乗じた額が30万円以上の時は、その額

通常の最低限度額が30万円未満の時は、30万円

30万円までなら、フリーハンドでいいですよ、という形ですかね。

2.すでに受入保証金がある場合

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受入保証金の総額と、新たに行った信用取引の通常の最低限度額との合計額が、30万円以上の時は、通常の最低限度額

その合計額が、30万円未満の時は、その差額を通常の最低限度額に加算した額

なかなか、ピンとこないかも知れません。何となく数字だけは頭に入れておいてください。あとは、練習問題で慣れてみてください。

債務不履行

証券外務員試験の一種試験の範囲です。頑張ってください。

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取引参加者は、顧客の債務不履行に対して、任意に当該顧客の計算において、売付け又は買付けの契約を締結(転売・買戻し・最終決済・権利行使を含む)することができます。

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取引参加者が顧客の債務不履行によって損害を被った場合には、顧客のために占有している金銭及び有価証券でもって、損害の賠償に充当することができます。

さらに、なお、不足がある時は、その不足額の支払いを当該顧客に請求することができます。

顧客の債務不履行とは・・・

  • 有価証券の売買において、所定の時限までに売付証券や買付代金を取引参加者に交付しないこと
  • 信用取引において、所定の時限までに取引参加者に預託しなければならない委託保証金を預託しなかったり、支払わなければならない金銭を支払わないこと
  • 信用取引において、所定の時限までに取引参加者に貸付けを受けた買付代金又は売付証券の弁済を行わないこと

まとめ

一種試験の範囲もだいぶ入っていますので大変かと思いますが、ぜひクリアしてください。

⇒ 練習問題

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