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今回は証券市場についての概略と預金者保護についての学習です。

証券市場は発行市場と流通市場の2つあり

発行市場は新規に発行される証券で、流通市場は既発行の証券が次々と転売(流通)される市場です。前者は、具体的な市場はありません。抽象的な市場です。

発行市場
第一次取得
流通市場
第二次、第三次・・・
新規発行者から投資者(新規での取得者)まで 第一次取得者 ⇒ 第二次、第三次・・・取得者へ
証券の発行者、仲介者、投資者の3者が登場人物
相対取引で市場としては抽象的な世界
具体的なマーケットとして市場が存在する

2つの市場の関係は?

無関係ではなく、有機的に結びついている、という関係にある。

あと一つ頭に入れておいて欲しいのが・・・次の投資者保護的な観点からの要請でもありますが・・・
金融商品取引法にて、(新規発行に似た販売勧誘の際には)新規発行の有価証券の募集の場合と同じく情報についての法定開示が求められることになっています。

取引所での取引と店頭での取引

取引所というのは、よく耳にするように東京証券取引所とか、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所の4つです。

昔は、大阪証券取引所というのもありました。合併というか統合で大阪証券取引所は、⇒ 大阪取引所 となりました。
株式などの売買は東京証券取引所に統合されて、逆に東京証券取引所にあったデリバティブ取引の機能が大阪に統一されたのです。そして大阪の方は、大阪取引所という名称に変更になったというわけです。

取引所での取引はすべてがシステム化・高度化されています。
今や個人が在宅でネットで売買の注文を発注すると、すぐさま取引成立となるような時代になりました。昔は、証券会社の担当者に電話なりでお願いして注文をしてもらう、という(今と比べたらある意味のんびりとした)時代でした。凄い時代の変化です。

しかも世界を見れば24時間どこかのマーケットが開いているというような時代です。

当然、取引所での実際の取引においては規則(ルール)が存在します。
東京証券取引所・・・東京証券取引所で定めた規則(ルール)があります。
名古屋証券取引所・・・名古屋証券取引所で定めた規則(ルール)があります。
福岡証券取引・・・
・・・・・

店頭取引・・・日本証券業協会が定めた規則による。

取引所取引 店頭取引
一定の上場基準を満たすものが商品 基準を満たさないもの
参加者は一定の基準を満たした証券会社のみ
私たち顧客はその取引参加者(証券会社)を通して売買
証券会社の店頭(カウンター)で
証券会社間、お客さまと証券会社との間の相対取引

取引所での取引でないものが、店頭での取引ということになるのですが・・・店頭市場の他にPTS(私設取引システム)というのがあります。

PTS(私設取引システム)

PTSについては、そのまま覚えておいてください。後々詳しく学習することになりますが・・・

PTS(私設取引システム)とは、証券会社が運営している取引システムです。もちろん認可を得ているものです。
もっとひらたくいうと、商品取引所を通すことなく株式等の有価証券の売買ができる世界、ということです。

当然、時間外でも売買できる、ということになります。

株式投資型クラウドファンディング制度とグリーンシート銘柄制度

クラウドファンディングとは、個人や法人が起業したり、新しい商品や作品などをつくり出す時に、広く有志から資金を投資者から直接的に調達する仕組みがクラウドファンディングです。

製品であったり、イベントであったり、映画などのコンテンツであったり・・・実際にお店であったりもします。
それの株式投資版ですね。それが株式投資型クラウドファンディングという制度です。未上場(非上場)の株式の発行を通じて資金調達するものです。

資金調達の側からすると選択肢が増えることはいいことですし、投資家にとってもいいことです。銀行などの間接金融から、どんどん直接金融という方向へ進んでいっているということですね。

グリーンシート銘柄の制度とは、非上場の株式のうちで一定レベル以上の情報開示ができる銘柄の投資勧誘ができるものをグリーンシート銘柄といいますが、平成30年3月末で廃止することが決まっています。

投資者保護について

ペイオフ(預金保護)という単語を耳にしたことがあると思います。一つの銀行当たり一人1,000万円まで、というヤツです。預金者保護、と呼ばれています。

預金者を(一定の範囲ながら)保護してくれる制度です。では、投資者保護とは? どういうものだと思いますか。
購入した株式の配当や元本を(限度額まで)補償してくれるものでしょうか。

それが違うのです。銀行などの預金者でありません。投資者です。投資者は自己責任が原則なのです。

預金者保護 投資者保護
限度額まで補償してくれる 自己責任の原則
判断のための正確な情報等は与えられるべきだ、というもの。

※投資者保護とは、普通の意味での投資者が保護されるようなものではありません。
投資元本の安全性を保証をするものでもありません。勧誘時に(万が一の時の損失を)補てんしたり保証したりするものではないのです。

元本保証されない、自己責任の原則、という世界です。(銀行の預金者保護とは違うということです)

実は、昔、証券会社ではお得意さまに損失補てんということをしていた時代があります。損をしたお客さまにその損失分を補てん
していたのです。とんでもない時代でした。それが当たり前のようにどこの証券会社でも行われていたのでした。

まとめ

投資者保護は、自己責任原則を追求するために正確な情報提供等といった意味で保護されなければならない、という考え方です。預金者保護との違いを認識しておいてください。

もちろんこの精神は金融商品取引業者としても、そこで営業活動をする外務員としても、金融商品を購入する投資者(顧客・投資家)としても守るべきものなのです。

当然、その考え方が外務員としての営業活動や精神に反映される世界です。外務員試験においても十分にその精神を元にした発想で解答するようにしてください。