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外務員試験に合格すると、かつ所属の会社が正式に外務員として登録すると・・・外務員としての活動・仕事ができるようになります。興味のある人にとっては、バンザーイ!なのですが。セールスの相手は人間です。

毎月少しずつ少額からでもできる商品だと若い人たちや、小さい子どもさんのいる家庭でも十分にターゲットになり得ます。
しかし・・・

外務員として活躍される時には、どこか心の片隅にでも刻んでおいてください。

金融商品のお客さまには高齢者や高齢者世帯の方も含まれる

日本が少子高齢化と言われるようになって久しいですね。私が勤務していた地方銀行のとある支店のある町は、高齢化比率が45%を超えているところがありました。それこそ昼間は、街中に誰もいないという感じになります。(夜はもちろんそうですが)

日本全国、その流れは止まりません。人口集中や若い世代のウエイトが高いのは、極々一部の都市だけです。

そして・・・お金を持っているのが高齢者の方々なのです。昔とは違った商品・サービスがどんどん誕生してきていますが、どこをターゲットにしているか、というのに気をつけていると中高年や高齢者向けの、特に高額の商品・サービスも目につきます。(外国からの観光客の爆買いといったものは例外です)

反対の視点から・・・自分たちが目標があって金融商品を販売しないといけない、となれば、大抵はその目標値は金額ベース的なものです。口数で何件、というよりも合計金額でいくら、という世界です。

ましてそれが期間限定、半年なりの限られた期間内に達成しなければならない、というのが普通です。
となると・・・金額のデカい商品(販売手数料の大きい商品)を売りたくなるのが、セールスしたくなるのが人間です。

同じセールスという時間とエネルギーを費やすのであれば、普通はそう考えます。
お金を持っている人、高齢者の方々や高齢者世帯の方々になります。

人との接触に乏しかったら(言葉が悪いですが、飢えていたら)、やさしくアプローチするあなたに好感を持ってくださいます。あなたの勧める商品に興味を示してくださいます。
場合によっては購入してくださいます。万々歳です。でも・・・

人は、お客さまも、歳をとるのが人間です

昨日の晩ご飯を覚えていますか?
では、昨日の朝ごはんのメニュー、料理の品数はどうでしたか?

もちろん意識していないのが普通ですから、簡単に記憶から飛んでいってしまいます。
外務員としてのあなたは、毎日毎日たくさんのお客さまとお会いします。そして、転勤や異動といった形でまったく違う世界の人たち(お客さま)と出会い、別れていきます。そしてまた・・・次なるお客さまとの出会いがあり・・・

歳をとるにつれて記憶も薄れます。記憶力そのものが衰えるのもありますが、何か特別な印象がなければ、「あれ?」と思い出せなくなるのが人間です。

同じく、相手のお客さまも少しずつ少しずつであっても、歳をとっていかれます。

老老介護という言葉があります。高齢者同士での世帯も多くなってきています。そんな人たちに金融商品を買っていただいたら・・・あなたのことも、もちろん金融商品のことも忘れていってしまう可能性がゼロではない、というのが意識しておくべきことですね。

場合によっては、周りにカバーしてくれる、フォローしてくれる人がいないのですから。
「お母さん、○○さんがちゃんと説明してくれて、十分に理解して、自分で買ったのがこの金融商品だったよね」なんて外務員の立場をフォローしてくれるような人が身近にいないのが当たり前の世界なのです。

若くても認知症が発生するように記憶が薄れるのが人であり、お客さま

ましては、最近では食生活やストレスなどからでしょうか、若くして認知症を発症される方も増えているように思います。
そういう(本記事を書いている)自分だって、いつ何時、ということは誰にも分かりません。

外務員としては、そんなリスクが常につきまとう、ということです。

さらに、人の記憶というのは簡単に入れ替わるとも言われています。思い込み、勘違い・・・歳をとると頑固になったりもします。
専門的なことは分かりませんが、一度切れた脳細胞のシナプスはなかなか回復させるのは難しいのでしょうね。

実際、脳のMRI画像などでスキマのできた脳の写真などを目にする機会がありますが、自分だけは別だと思いたいのが人ですね。
脳が委縮してきたらどうなるのか、自分でもどうしょうもないでしょうから。

今日、じっくりと話ができて理解していただいたお客さまが、いつその記憶を失くされるか誰にも分かりませんが、リスクとしては常に考えておくべきことであることは間違いありません。

外務員が販売する金融商品というのは、常にそういうリスクが起こりうるというのを意識しておくことは非常に大切です。

外務員に浴びせられる身内からの言葉

さあ、あと一つ、心が萎えるような場面をご紹介したいと思います。

ある日突然、あなたの勤務している会社(支店)・組織に、電話なり、見知らぬ人からの連絡が入ります。
「自分の親が、あなたから金融商品を購入しているけど、知らないと言っている。勝手に手続きしたのはおかしい」といったような連絡が入ることです。

その金融商品が含み益を出していたり、十分な収益を計上できている商品なら絶対文句は言われません。損が出ていると人は自分の非を認めたくないものなのです。
儲かっていたらそんな苦情は絶対にと言っていいくらいあり得ないことです。

政治・経済が突然動いたり、それにつれてマーケットがどんな動きになるか・・・神のみぞ知る、の世界です。

とりわけ、地方に単身で住んでいた親に、お盆や正月に帰省して(都市部から)会いにきた娘・息子夫婦などが、金融商品の控え・計算書などを見つけたりしたら(場合によっては)大変なことになります。

ここぞとばかりに、(自分たちの取り分・分け前が少なくなるとばかりに)厳しい対応をしてくることがあります。
通常は、現在お客さまと取引のある店に対しての苦情ですから、個人的に(まして異動とかでその店にいなかったりするのが普通でしょうから)攻められることはありません。

でも、長引けば・・・こじれたら・・・その当時に勧誘してその商品を獲得した本人にも連絡なり、影響なりが及んでくる場合があります。
違う世界で、前向きに暮らしている、仕事に取り組んでいる時に、後ろ向きなエネルギーを費やさざるを得ないトラブル事は精神的に(普通は)参ってしまいます。

長い間、仕事人として、外務員としてモチベーションを維持しながら日々の業務に取り組んでいくには、そんなリスクには関わりたくないものですね。
でも、お客さまが自己責任の原則であるように、私たち外務員も個人レベルでリスク管理をした方が(一度きりの人生をそれなりに送るためにも)良いのではという発想は間違っていないのではと思ってしまいます。

リスク管理のまとめ

組織によっては、○○歳以上の高齢者の方には(国債などを除いて)金融商品を販売するな、というような決まりごとのあるところもあります。
また、上司の同行訪問での確認などを義務付けているのが普通の金融商品販売業者だと思います。

それに加えて、個人レベルでもリスク管理は意識した方が絶対にいいのではないでしょうか。

金融商品の世界ではありませんでしたが、昔、融資業務で、連帯保証人に署名捺印をもらう時に・・・記念撮影をしていた同僚がいました。
「いつなんどき、保証人になった覚えはない、という抗弁が起こるとも分からないから、将来のリスクに備えての記念撮影だ」と笑っていましたが、個人レベルでそこまでリスク管理をやれるという人材がいることの凄さを感じた瞬間でした。

可能な限り、単独行動は止めて上司をまき込みましょう。双方に複数の人間を介するという発想は大切です。
それでもリスクがゼロにはなりません。

それと・・・老婆心ながら、(大変でしょうけど)記録をつけておくことも大切になります。

もっとも、高齢者や高齢者世帯からは金融商品を取り入れしない、というのが究極の回避策なのかも知れませんが、それだと成績はあがりません。
できる範囲で自分にできるリスク管理を、そして日頃からアンテナの感度を上げることに努めてください。外務員に合格しても・・・なんてことは思わないでください。今の最優先課題は外務員試験合格です。

リスク管理は頭の片隅で結構です。



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